司会のウラワザ

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司会のウラワザ・・ その8 謙虚さ

d0054785_168494.jpg十数年前の春、あるホテルで結婚披露宴の司会をしていた時、こんなことがありました。

後半、メインディッシュ(お肉料理)の出ている頃、年配の方のスピーチが続いています。
もう15分も話しています。話の内容は最初は良かったのですが、次第に焦点が分散、ここまでくると「自己陶酔型」のスピーチです。

ホテル側は、シビレを切らし、静かにお皿を下げはじめました。(通常は祝辞が終わったところで、お皿を転換します。お皿を下げる時に生ずる騒音やウェイターの動きで、スピーカーに失礼にならないよう、また、スピーチに耳を傾ける方々の邪魔にならないように・・という配慮です。)

私は長年ホテルのウェイターもやっていますので、「時間の関係」でお皿を下げざるを得ないホテル側の気持ちが、痛いほどわかります。ナガーイ祝辞が終わったところで、私はこう言いました。
『お祝いのお言葉有難うございました。このままお開きまでお話なされるのではないかと、司会者として、ハラハラいたしましたが、さすが人生練達の士、程よい所で見事に締めくくって頂きました。尚、お話の最中ではありましたが、お料理の関係で、お皿を下げさせて頂きました。少々お耳を騒がせましたが、皆様のご協力有難うございました。』

キャプテンが来て「『司会者さん有難うございました。さすがですね、ああ言って頂くと我々も大変助かります。』
時間の関係で、お皿を下げざるをえないホテル担当者の「胸のうち」を、代弁したからでしょうか・・・。
大雑把なまとめ方ですが、ここでは、「お客様も大事だが、ホテル側の料理や時間の都合も大事なこと」といった価値観を感じます。

ところ変わってここはホテルオークラ。同じような状況があったので、私は司会者として、やはり同じようなことをアナウンスしました。ところが・・・・
ホテルスタッフの『エーッ なんていうことを司会は言うんだろう・・・?』と、あきらかに拒否反応を示すリアクションです。時間の関係、つまりホテル側の都合で、お皿を下げたことに、ことさら触れてほしくなかったのです。スピーカーとお客様の集中をさまたげないよう、細心の注意を払って、ソーッとソーッとお皿を下げたのに、司会者にそのことをお披露目されてしまっては、これは正直いって、まいります。
ここではなにはともあれ、「お客様第一、ホテル側の都合は、目立たず、さりげなく・・」という価値観を感じます。

どちらが良い悪いを論ずる気持ちは全くありません。私の興味深いのは、相手側の価値観の相違によって、司会者の放った言葉の意味が、まったく変わって受け取られていくという現象です。私は、このことから 『言葉は、自分の意志を離れて、独自の働きをする』という法則を、再び確認します。同時に、だからこそ、言葉に対して、そして人に対して 「謙虚」 であらねば・・と自分を戒めます。

さまざまな価値観の人達が、縁あって、同じ時間に、同じ場所に集まり、同じ結婚披露宴の仕事を分担して遂行していきます。俺が 俺がの仕事から、君はどう・・?あなたはどう思う・・?の歩み寄る「謙虚さ」を大切にしていきたいと思うのです。その「謙虚さ」があれば、お互いの誤解や意識のスレチガイが少しだけ減って、もっともっとステキな司会ができるようになると思うのです。
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by qqbh8530 | 2005-06-20 23:20 | 司会

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