<ヤマアラシのジレンマ>に学ぶ
今回は、『より良い人間関係を目指して~ヤマアラシのジレンマに学ぶ』を発信します。
人生の悩みは、主に、「健康」と「お金」と「人間関係」の3つ、おおよその悩みは、ほとんどこの3つのうちのどれかだそうです。
さて、今日はその3つの悩みの中から、「人間関係の悩み」について考えてみたいと思います。
今だからこそ言えますが、20代から40代にかけて、私は、人間関係には本当に苦労しました。
人一倍思い込みが強いこと、空気を読めないこと、自我が強いことなどが、私の人間関係を難しくさせていました。
「自分を変えたい、変わりたい・・」
必死になって、セミナーに通い、本屋さんに通い救いを求めました。多額のお金をつぎ込んで得た答えは、「人は、基本的には変わらない、変われない存在だ」ということでした。ではどうしたらいいのか・・?
上司と部下、親子、嫁姑、夫婦、そして友人同士・・のコミュニケーションの悪化にお悩みの方、また、司会の新人の方々、事例はちょっと極端な例ですが、応用してみて下さい。
こんなことがありました。
私が20歳の頃、新宿の建設現場に日雇いのアルバイトに行きました。しょっぱなから、スコップを使って穴掘りの重労働です。
当時、ひ弱だった私、なかなかはかどりません。一緒にやっている4、50代のオッチャンが、私にこういいます「あんちゃんよ~、そこの京王デパート行って、おもちゃのスコップ、買ってこいや。そんなんじゃ仕事にならんべや~」
私は痛く傷つきました。それでもそのおじさんと「うまくやらなければ・・」と必死に気を遣い、身体よりも精神的に大いに疲れてしまったことを覚えています。実はこの「うまくやらなければ・・」という幻想が、人間関係をより複雑に、難しくさせているようです。
でも、正直言って、こんな暴言を吐くおじさんとは、うまくやらなくてもいいんです。かといって無視すると手に負えなくなります。こんな時、役に立つのが、「ヤマアラシのジレンマ」という話です。
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ヤマアラシのジレンマ
寒さの中、二匹のヤマアラシが暖め合おうと近づきます。しかし、近づきすぎるとお互いの体の針が相手に刺さってしまう。かといって離れると寒くなる。二匹は近づいたり離れたりを繰り返し、ようやくお互いに傷つかず、寒くも無いちょうど良い距離を見つけます。
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哲学者ショーペンハウエルの寓話を元に、心理学の大家フロイトが考えたお話です。
上記のお話を応用してみます。
ポイントは、差しさわりの無い程度の、相手との距離感をさぐることのようです。
暴言を吐くおじさんにのご機嫌をとっても、仕事が満足にできなければ怒りを買うだけです。
かといって無視すれば、相手は(俺を馬鹿にしやがって)と益々怒り狂うでしょう。
そこで、心を決めます。
・何を言われてもハイと素直に元気よく返事をする・・と決める
・怒られたら、相手の目を見て、素直に「すみませんでした」と謝る・・と決める。
・淡々と自分のできることをやる・・、やるべきことをやる・・、耐えて耐えて、できることをきちんとやる・・と決める
ただひたすら・・、これにつきます。こうして耐えるしかありません。これ以上おじさんとの関係を悪化させないための、最低限の法則です。
まとめます。
人間関係で悩んだら・・
・深刻に考えない。楽観的に考える~<楽観的になるには、客観的になる>
・俯瞰(ふかん)してみる・・。もしも、もう一人のあなたが、悩んでいるあなたを、偶然見つけた時、あなたは自分に何てアドバイスしますか?・・と考えてみる。
・傷つけあい、痛い思いをしながらも、近づいたままでいる必要はまったくない
・上手くやっていかなければいけない・・という思い込みを捨てる。
・上手くやっていかなくてもいい・・と、健全にあきらめる。そう自分を許す。
・相手の針の長さを知り、同時に、自分の針の長さも自覚し、くっつきすぎず離れすぎずの適度な距離を意識する。
・そのうえで、やるべきことはきっちりやる・・
やるべきこととは、職場では、ほうれんそう(報告・連絡・相談)そして挨拶。苦手意識や、嫌だ意識は、否定せず、とにかく一旦横に置いて、やるべきことをしっかりやる。そのために最も大切なポイントは、『どんなに辛くても、やりたくなくても、言いたくなくても、やるべきことはやるぞ!』と自分できっちり決めることです。
そして上記の基本ができてきたら、其の上で、
ストレッチ目標・・ちょっと背伸びして頑張って、苦手の相手に対してトライしてみます。
①少しだけ笑顔であいさつしてみる
②少しだけ、感謝の気持ちを述べてみる
③少しだけ、相手を褒めてみる
もしかしたら、意外な展開があるかもしれません!実は意外な展開を数回体験しています。
やはり人間関係改善の1つの手立ては、心を決め、耐え、やるべきことをきちんとやり、あとは運まかせ、天まかせ・・と言ったところでしょうか?
ということで、ヤマアラシのジレンマ・・参考になりましたでしょうか?
ちなみに、実際のヤマアラシは、針のない頭部を寄せ合って体温を保ったり、睡眠をとったりしているそうです。
参考文献・・
*杉本良明著 「人間関係にうんざりした時に読む本」
*浮世満里子著「プロカウンセラーのコミュニケーションが上手になる本」
*CTIジャパン訳 「コーチング・バイブル」
第3弾「おもてなしの心と、感動を呼ぶ接客」最終回
今日の内容は、感動体験、クレーム対応力、私仲澤の質問の3つです。
感動体験~ハンディキャップを持った子供とそのご両親の搭乗。担当のCAは、家族の会話の中に、子供の誕生日であることを知る。子供は、食事もできない、言葉もしゃべれない重度の身体障害者。そのCAは、家族の許可を得たうえで、心を込めて、その子にハッピーバースデーを唄う。すると周りの多くの人たちが自然に唄の輪の中に入り、やがてみんなでハッピーバースデーの合唱となる。その子は涙を浮かべ、そして今まで見せたこともない笑顔で喜んだ。
クレーム対応力~クレームには誠意をもって真摯に耳を傾ける。JALのファンだからこそ苦言を言って下さる。クレームを言って下さる何倍もの人が、何の声も上げずに黙って去っていく。リピーターになって頂くため、不満を持っていそうな人こそ、勇気を出して伺うラストチャンスが到着前。満足度の確認を必ずして、お客様の不満をキャッチする。次回に生かす。
仲澤の質問~ウェイターNが会席料理サービスのスタート時、オーダーミスでお客様を怒らせてしまう。心の整理がつかぬまま、凡ミスを繰り返し最悪な状況に・・。そういった状況での、心のコントロールをどうしたらいいのか?
アンサー~リーダーとしては、最悪の場合は、Nの担当エリアを他の者と変わってもらうが、できる限り最後までやりきる中で、挽回するチャンスをNに与えていく。当の本人の意思を尊重しつつ、例えばリーダーが中に入ってお客様の気持ちを静め、仲を取り持ち、担当者が最後までサービスできる環境を整える。
また当の本人には、心のリセットが必要。深呼吸、トイレに行って笑顔の練習・・。あるいは、愛する我が子の写真を見たりして心を整える。
いい形でサービスできるようになるまで、リーダーがさりげなくサポートする。最後までやり切り、お客様が笑顔になった時、Nにとっては、貴重な成功体験として心に残り、成長の一助になる。
最後に・・
お客様の心に1歩踏み込む勇気を持とう。
お客様がもし自身の家族だったら・・と考えてみよう。
もし私がリーダーの立場だったら、どう対処するだろうか・・と考えてみよう。
経験に裏打ちされた吉川チーフの珠玉の言葉が、今でも私の心に響いています。
吉川さま、素敵な<心のフライト>をありがとうございました。
「おもてなしの心と、感動を呼ぶ接客」を聴いて 第2弾
「おもてなしの心と、感動を呼ぶ接客」を聴いてきました。講師は、山梨県甲府市出身 日本航空客室本部 チーフキャビンアテンダント 吉川陽子 氏です。
今回は、好印象を与える方法、アイコンタクトの外し方、一瞬の心がけと一言の言葉かけ、搭乗者への話しかけのコツ などを中心に整理したいと思います。
・好印象を与える方法~一人一人がJALの代表の自覚を持ち、お客様に安心感と、親しみやすさと、声のかけやすさを感じ取って頂けるよう、身だしなみや化粧の訓練を積む。同時に身だしなみや化粧の質的レベルを高く保つ努力をしていく。また好印象を与える方法を皆で検討し、そのイメージを共有する。例えば、明るく健康的で品位のある化粧をし、清潔に爽やかに見えるものに近づく努力。
・客室に笑顔の花を咲かせよう~毎日5分間、笑顔の練習をしよう。鏡を見て『イ~、ハッピイ~、ミッキ~、ダイスキ~』。すべて母音のイ~で、笑顔の筋肉の<口角>を上に上げる訓練を惜しまない。
・アイコンタクトを外すタイミング~目切りといって、相手と目があって、それをさっと外すと、相手に違和感が残る。ポイントは、合った目線はそらさずに、余韻を持ってゆっくりと外すこと。
番外編・・機内でオレンジジュースを頼まれる。オーダーを受けた瞬間までは最高の笑顔。オレンジジュースをディスペンサーからグラスに注ぐ瞬間、ふと気が抜けて笑顔を失う。疲労感がただよう。お客様はそこに気付く。そこで、「オレンジジュースにも愛を込めて・・」と呪文を唱えてジュースを注ぎ、笑顔と一緒にお届けする。
・出迎えの心がけと、言葉かけ~どんなお客様も、気持ちよく迎えられたい、旅の不安を軽減したいと思っています。旅の始まりを心からの歓迎の気持ちで迎えます。
一人一人に心からの笑顔で「お待ちしておりました」。そしてほんの一言の言葉かけをします。例えば<今日はお暑いですね、機内を涼しくしてお待ちしておりました/ご家族の皆さん、いい色に日焼けされて。お天気に恵まれてよかったですね/ディズニーランドに行ってらっしゃったんですか?楽しかったでしょう/素敵なお色のスーツですね、夏らしいさわやかなお色ですね・・>こんな感じでファーストコンタクトを取ります。
ラストコンタクトでは、例えば<お仕事のご成功をお祈りします/外は熱いのでお気を付け下さい/またお目にかかれることを楽しみにしています>等々
・搭乗者への話しかけのコツ~①かしこまらない②先入観を持たない③お客様に興味を持つ④お客様と親しくなりたいと思う⑤お客様を自分の鏡と思う。
できる限りお客様の名前を呼び、言葉をちりばめる。たった一言、「○○さま、本日のご搭乗有難うございます」だけでも、笑顔を見せるお客様がたくさんいらっしゃる。
今回はここまで。次回第3弾最終回は、吉川氏の28年間の乗務経験の中で見聞きした感動体験秘話、クレーム対応力、私仲澤の質問とアンサーなどの3つの項目をアップします
「おもてなしの心と、感動を呼ぶ接客」を聴いて
「おもてなしの心と、感動を呼ぶ接客」を聴いてきました。
講師は、山梨県甲府市出身 日本航空客室本部 チーフキャビンアテンダント 吉川陽子 氏です。
30日ロサンゼルスから帰国、1日バンフォーレ甲府観戦、そして2日の本講演、3日は上海へフライトと、超多忙の中の講演です。
聴衆は約250名。私は、開演40分前、講師に最も近い一番前の列の真ん中に座りました。
講演会の内容を当日の流れに沿って整理しながら書いてみます。
かなりLONGになりますので、何回かに分けて発信します。出席したくとも出席できなかった方々、どうぞ必要な部分を参考になさってください。
尚、私の聞き違いや勘違いなども多々あるかとは思いますが、お許しを頂きたいと思います。
オープニングは、主催者 山梨中央銀行常務取締役 甲府商工会議所理財部会 功刀茂夫氏の力強い挨拶。そして講演スタート。
講師の吉川氏は、まず手話で自己紹介します。そして「すべてのお客様に寄り添うように、感謝の気持ちとおもてなしの心を伝えられるように、コミュニケーションの手段として、手話と各国の言語をマスターするよう努力しています」と言葉を添えました。
夢だったキャビンアテンダント。辞めたいと思ったことは一度もなかったそうです。
お客様からよくこう聞かれます。「今日は富士山は見えますか?」と。
吉川氏曰く『富士山が見えると手を合わせる姿をよく見かけます。富士山が特別な存在になっているようですね。甲州ワイン、B1グランプリのとりもつ煮なども機内で提供することもあり、山梨をいつも身近に感じています』。
いよいよ本論です。
1.挨拶のポイント
挨拶は人間関係の潤滑油。コツは、言葉と動作を一緒にしないこと。
手順としては、まず搭乗御礼の一言を笑顔を添えてアナウンス、そして一人一人の目を見て、アイコンタクトを返してもらったそのうえで、感謝の気持ちを持って、一礼のお辞儀をする・・といった感じです。
レストランなどで、いらっしゃいませと言いながらお辞儀をすると、お客様にはお辞儀している人の頭が目に入り、アイコンタクトできず、気持ちが伝わりにくいというわけです。
お辞儀は、いらっしゃいませなどの一言の後、<お客様と目があってからお辞儀する>が基本のようです。
2.競合他社との差別化は、ハード面ではほぼ共通しているので、リピーターやファンを創っていくヒューマン的要素に力点を注ぎます。感動のサービスができる「人」が、企業イメージを決めていきます。人育て、心育てが大切です。
3.フライトのスタンバイ~フライト4時間前、搭乗者一人一人に特別感を持って頂けるよう、また全体のお客様満足度を引き上げるため、<お客様情報>をチーム全員で共有します。たとえば、VIPや、ハンディキャップを持つお客様、お国柄通常とは違う対応が必要なお客様、個別事情や特殊事情があるお客様、来店情報などなどの諸々の情報の確認と、共有を図ります。
4.搭乗者すべての方々の名前を覚えます。機内サービス時、また宿泊先のエレベーター内で偶然ご一緒した時など、相手の名前を呼んで挨拶するだけで、より親しみを感じて頂けます。お客様との距離もグッと縮まります。ただ最近は、特別の事情があって名前を隠したがる人も中にはいるので、注意が必要だそうです。
5.搭乗前、必ずCA全員でブリーフィング(意識合わせ)をします。ベクトル(方向性)を合わせる・・ともいいます。
具体的には、<お客様視点を貫く>という信念を、CA全員の意識の中で統一し、心を一つにして搭乗する・・と言うことです。CA全員が、心を一つにすると、1+1は2ではなく、5となり10となってパワーアップ、お客様サービスの質的向上に反映していきます。
6.JALフィロソフィーといって、3万人共通の企業理念を一人一人が自覚します。具体的には、「一人一人がJALの代表」「自分の役割を果たす」です。
こぼれ話を一つ
JALの飛行機に、他国のCAと一緒にティームを組む時もあります。
海外組CAに、全員同じ色のスカーフを、全員同じ結び方で・・と伝えると、、<没個性>だと反発があるそうです。
そこでチーフは、「個性美はもちろん大切ですが、日本では、<統一美>という美意識があります。」と優しく諭すそうです。
次回は、セミナーで学んだ好印象を与える方法、アイコンタクトの取り方外し方、一瞬の心がけと一言の言葉かけ、搭乗者への話しかけのコツ などを中心に整理したいと思います。